おまえの血は何色だ?

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 彼らと我々とでは、科学技術のレベルが違いすぎるのだ。  我々の兵器を以ってすれば、地球人との戦闘など乳幼児の手を捻るようなものである。  彼らとて、これが無駄な抵抗以外の何ものでもないとわかっているだろうに、それでもなぜ、あえてその無駄な行動をしようとするのかまったくもって理解に苦しむ。 「や、やめ…うぎゃあぁぁぁぁーっ!」 「た、助けてく…ぐぁああぁぁぁーっ!」  突撃してきた地球人達が超マイクロ波を浴び、またもや次々に膨張して破裂してゆく。 「くうっ…なんて…なんてひどいことをするんだ……おまえの……おまえの血は何色だあっ!」  一面真っ赤な血の海と化した景色の中、幸いにも他の者の影に入っていたものか? 超マイクロウェーブの照射を免れた地球人が一人、自らも仲間の血液に赤く染まりながら意味不明なことを叫んでいる。 「……?」  なぜ、今、血液の色のことなど尋ねるのだろうか? 彼らにとっては、そんなこと気にしているような状況ではないと思うのだが……。 「私の血の色は普通に青色だけれども、それがなにか?」  彼の質問の意図がよくわからなかったが、訊かれたので仕方なく当たり前のことを答えてやると、引き続き彼らの殲滅作戦を続行する。 「違うっ! そういうこと言ってんじゃねぇ…うぎゃぁああああーっ!」  …………ああ、なるほど。そういう意味だったか……。  質問した地球人もこれまで同様破裂させながら、脳量子波でインターネットにアクセスして調べてみたが、先程の言葉は私が思っていたような単なる問いではなく、「それでもおまえは人間か?」という相手を批判する意味合いを込めたものであったらしい。  しかし、そう言われても、我々は彼らのいう〝人間〟――地球人ではもちろんないので、「ええ、違いますよ」としか答えられないし、血液の色を訊くことがなぜ人間であることの否定に繋がるのかも理解できない。  まあ、地球上に住む動物の多くがヘモグロビンによって赤い血の色をしているから、そんな表現が生まれたのであろうか? だが、そのカテゴリ分類法だと、同じ血の色をした猿や四つ足歩行の哺乳類、さらには鳥類や爬虫類、両生類や魚類まで〝人間〟になってしまうと思うのだが……。  つくづく地球人の考えることは理解できん。
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