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「おいおい、随分と入ってるな」
その言葉に他の冒険者が一斉に戦士の下へと集まった。
麻袋の中は数十枚の金貨が入っている。数人の上級冒険者に依頼してもお釣りがくるほどであった。
「どうやら、他の冒険者も行くらしいな」
麻袋の中身に釣られて動いた冒険者達の動きが一斉に止まり、戦士の言葉に一杯食わされたと溜息をつく。
「分かった分かった。その代わり、報酬は生き残った奴で山分けだからな」
諦めたかのように盗賊の男が笑って条件を付け足す。
「お、言ったな? 普通、そういう言葉を吐いた奴が最初に死ぬんだぜ」「言ってろ。一番装備が薄い魔法使いに言われたくねぇな」
他の冒険者達も仕方がないと笑い、フォースィの依頼を引き受けた。
「それで、あなたはどうするのですか?」
弓兵がフォースィに尋ねる。
「私はこれから東門を目指し、騎士団と合流します。あなた方はイリーナを保護したらすぐに西門に向かって街を脱出してください………ええ、大丈夫です。あの子には私とはぐれた時の指示は出していますから」
いつか必ず合流できる。そう最後に言葉を加える。
「分かった。じゃぁ、元気でな、また一緒に組めることを期待しているぜ」
「ええ、この依頼が上手くいったらまた雇うことにするわ」
麻袋を受け取った戦士とフォースィは短く手を握る。
「よし、いくぜ野郎ども!」「………女もいるんですけど」
僧侶の女性が小さく呟きながら、冒険者達は南の大通りに向かって行く。
「イリーナ、必ずタイサの下に行くのよ」
フォースィは踵を返して東の大通りを目指す。向かうは本を納める『始まりの場所』と呼ばれる集落。そしてその集落に続く洞窟。洞窟はこの街の東門から出て北東の森の中にある。
フォースィはかつて昔にたどった道と同じ道を歩き始めた。
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