第八章

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「………分かりました。ですが、必ず生きて帰ってください」 「当然よ。まだまだ長生きしたいもの」  バルデックは一瞬目を瞑ると、他の騎士に東門を抜けて脱出することを伝えた。 「………俺達はここに残りますよ」  剣を持った冒険者の1人がフォースィの横に立つ。彼が周囲にいる他の冒険者に目を向けると、全員が様々な表情のまま小さく頷いた。 「いいの? ここに残ったら死ぬのよ」フォースィは冷たい目で脅す。 「でも、あなたは生きて帰るんですよね? だったらあなたの近くにいた方が長く生き残れそうだ」  冒険者は自嘲気味に笑った。 「そう、なら好きにしなさい」  フォースィも目で笑って返す。 「さぁ、作戦会議は終わったかい?」  律儀に待っていたビフロンスは欠伸をすると両手を広げた。  中央広場に現れた不死者は二百以上。ここに逃げてきた住民、騎士、冒険者あらゆる人間が虚ろに立っていた。 「こいつの能力は死者を呼び出すこと。でもそれだけじゃぁただの案山子だ」  だから、とビフロンスは両手に黒い靄を発生させる。  その瞬間、何かに気付いたように不死者達が一斉にフォースィ達に体を向けた。 「僕の力で死者を操る。これが僕達の能力『ネクロマンス』さ」 「………あら、そんなに喋っていいの? つまりあなたを倒せばいいと分かってしまったのよ?」  フォースィは魔導杖を1回転させると、杖の先をビフロンスに向ける。 「構わないよ。今まで同じことを言って、実現させた奴はいなかったから………でも、やっぱり魔王様はすごいね。この技を1人でできるんだもん」  僕達には無理だと言うと、ムルムスは小さく頷いた。 「さぁ、何分もつかな?」  ビフロンスの笑顔と共に不死者達が一斉に襲い掛かって来た。 「来るわよ!」  フォースィは魔導杖を天に掲げる。 「神々の力よ!」  魔導杖が一瞬光り、フォースィ達の頭上から足元へと白い魔方陣が通過していく。 「これは………」  バルデックや冒険者達が自分の体に包まれた白く淡い光に驚く。 「攻撃、防御、速度増加の加護。さらに複数回の攻撃には耐えられる魔法障壁を一斉に付加させたわ!」  胸を押さえ、眉をひそめながらフォースィが説明する。
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