第八章

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「銀龍騎士団、突撃する!」  バルデックは剣を掲げ、他の騎士達と共に中央広場に突撃、東の大通りを目指した。 「それで、俺達はどうすればいい?」  力が溢れ出る興奮を何とか抑えながら、冒険者達がフォースィに顔を向けている。 「………簡単よ。私と共に広場の中心に来てもらうわ。そこで5分………いいえ4分時間を稼いでくれればいい」  そうすれば不死者達を一掃できると深呼吸しながらフォースィは言い切った。 「………分かった。俺達の命、あんたに預けるぜ」  名前も知らない冒険者達が一斉に頷き、各々の武器を手に取る。 「じゃあ俺から行くぜ!」  剣を持った冒険者が先陣を切る。続いて左右に盾を持った戦士が続き、フォースィはその後ろを走る。そして背後に蓋をするように僧侶や魔法使い、弓兵が続いた。 「へぇ、随分と思い切ったことをするね」  噴水前の2人は二手に分かれた動きに興味を示しつつもその場を動かない。あくまで不死者達に襲わせる、その方針を変えていないようだった。  不死者達の動きは遅い。一度抜けてしまえば彼らは追いかけることができないようだ。戦いながら気付けたフォースィや冒険者達は、正面と側面にだけ注意を払い、足を止めないようにと不死者達を雑草のように切り開いていく。  そしてついに中央広場の中心に辿り着く。ここからは広場の全てを見ることができ、文字通り不死者達の中心に立っていた。 「円陣を組め!」  冒険者の一人が叫ぶ。それに合わせて生き残った10名弱の冒険者達は戦士や盗賊を外円に、内側に僧侶や魔法使い、弓兵を配置し、円の中心にフォースィを立たせた。 「4分、持ちこたえて!」  フォースィは魔導杖に魔力を込め、さらに周囲の魔力の素となるクレーテルを集め始める。  陣を組み、足が止まった冒険者達に次々と不死者達が近づいてくる。冒険者達は次々と迫る人間だった者を切り殺し、射抜き、焼き殺さなければならなかった。
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