三ノ章

4/46
前へ
/140ページ
次へ
「で、いくら?」 「……5万円」 「わかった。今は手持ちないから銀行まで付き合え」 「うん。じゃあ、美冬さん、またね」 あべのはすぐに立ち上がると、美冬さんに手を振った。 「あべのちゃん。また遊びに来てね」 「うん」 「おい」 俺はツッコむが、まあ、あべのは聞いていない。 「お兄ちゃん、行こ」 逆に腕を引っ張られて玄関へ。 「美冬さん、ちょっと行ってくる」 俺は振り向き気味に声を掛けた。 「気を付けてね」 美冬さんが、微笑ましそうな笑顔で手を振っていた。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加