三条宗近

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「俺は……刀解されたのでは無かったのか」 残念そうにそう言い、立ち上がった三日月宗近。 それを帰ってきたばかりの三条宗近は、 信じられない思いで見つめていた。 この男は何者だ。盗賊の類か……? いやそれにしては身なりが整い過ぎている。 ……何処かの貴族か? 様々な方向に頭を巡らせつつ、 入り口の前で立ち尽くす。 その視線に三日月が気付いた。 「帰っていたのか。驚かせてすまんな。 俺は三日月宗近…三条宗近…… お前に打たれた刀だ。宜しく頼む」 三日月宗近?俺の……自信作? 茫然と三日月を見る。 信じられない。 三日月宗近が、人の姿をしているなど…… 自分は妖を打ってしまったのだろうか。 そろりと入る三条宗近。 自分の家なのに落ち着かない。 「それで……お前はどうするのだ」 人の身を得たならば、何をするのだろうか。 妖かどうかはまだ分からないが、 気になった三条宗近は、そう三日月に問いかける。 「さてなぁ……彷徨でもするか」 答える三日月。彼自身もまだ決めていなかったが、 これも良いかもしれないと思う。 まさかこの時代に来ることになろうとは思わなかったが、 どうせ来たならば楽しみたい。 こうして三日月の彷徨が決まり、 これが波乱に満ちた旅の始まりとなった。
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