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3 フルボトルをめぐる攻防
一週間前のその日は夏のボーナスが支給された日だったので、秋川は奮発して何時も買うのよりもは高価なワインを買って、帰宅した。
まず最初にワインのコルクを抜いておき、秋川がリビング兼ダイニングルームのテーブルの上へと、デパートの食品売り場(所謂、デパ地下)で買い求めたパンやチーズ、その他ワインのつまみになりそうな総菜類をいそいそと並べているちょうどその時、瀬田が帰って来た。
「メールでもLINEでもしてくれたら、何か買って帰って来たのに」
テーブルの上を見て済まなそうにつぶやく瀬田を、秋川はなだめる。
「いいからいいから。おれが飲みたいから買って来たんだし。せっかくだから付き合えよ」
「・・・はい」
秋川は何時もは(倒してしまいそうで怖いから)使わないペアの脚付きのワイングラスを食器棚の一番奥から引っ張り出して、軽く水洗いをした。
まるで、ふっくらとしたチューリップの花の形の様だ。と秋川が思うこのグラスはブルゴーニュ型と呼ばれている。
ワインに凝り始めた頃に、アウトレットセールで買った秋川唯一のワイングラスだった。
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