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ちょうど一週間前の夜に、秋川が遅く帰って来たのは確かに佐伯のせいだが、全てがというのは正しくはない。
佐伯と別れた後、秋川は佐伯がゼッタイに立ち寄らなそうな居酒屋チェーン店へと入り、がぶ飲みワインをそれこそ、その名の通りに飲んだ。といっても、大振りのタンブラーに二杯が限界だったが。
翌日は二日酔い気味で自己嫌悪に陥り、散々だった。
それらの一部始終を瀬田へと話す気はなかった。とてもではないが、なれなかった。
「先輩のことについて、宣戦布告をされました。おれと先輩とが同居しているのを、何処からか聞き付けてきて色々と勘ぐってきました」
「何で、佐伯さんがおまえに宣戦布告をするんだ?」
秋川は絶句し、ようやく一杯目のワインを飲み干した。
せっかく(秋川にしては)、大枚をはたいたというのに、味がよく分からなくなってしまいそうだった。
店で(ミクリヤの様な良心的な所でも)注文すれば、万は取られるはずなのに。
「さすがは営業一課。いい勘してますね。モチロン受けて立ちましたよ。売られたケンカですから。先輩のことは、あなたになんか渡せません。って言ってやりました」
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