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「・・・・・・瀬田、おまえ、自分で何言ってんのか判ってんのか?」
「判ってますよ」
ワインを一気に飲まれてから言われても、秋川には信じることが出来ない。瀬田が空いた自分のグラスへとまた、ワインを注いだ。
「いや、おまえは判っていない。判っていたら・・・」
「判ってないのは先輩の方じゃないですか!おれがずっとずっと、先輩のことを好きだったの知らなかったクセに!」
「瀬田・・・」
瀬田がワイングラスをテーブルの上へと置き、両手で自分の頭を抱え俯き、言った。
「すみません。佐伯さんとのことは、先輩がちゃんと断ったのを佐伯さん本人の口からききました。未だあきらめてはいない。とも言っていましたけれども」
「まったく、あの人も懲りてないなぁ・・・」
秋川は酸化しすぎたワインを口にしてしまったかの様に、顔をしかめた。
変な酔いが回ってしまいそうだった。
佐伯のことはもう、秋川にとっては終わってしまったことだったが、今、目の前の瀬田を無視することは出来ない。
それにしても、一難、男?去ってまた一難、男?男難の相でも出ているのかと、秋川は不謹慎にも思った。
多少なりとも自分でツッコミを入れなければ、やっていけない様な気になってきた。
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