3 フルボトルをめぐる攻防

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 「おれじゃ、ダメですか?おれじゃ、先輩のこと、幸せにしてあげることは出来ませんか?」  瀬田の右手が、右腕が秋川へと伸ばされる。 秋川は我知らずソファーの背もたれへと、限界までに寄りかかっていた。クッションを掴む秋川の右手を、瀬田の左手が覆い、握りしめた。 「先輩・・・・・・」  秋川が掛けている眼鏡が、瀬田の手によって取り払われる。 たちまちピントは失われ、秋川の視界はぼやけた。秋川の左頬に、瀬田の手の平が触れた。  その手がそっと、しかし有無を言わせない強い力で、秋川の顔を上へと向かせた。  震える唇で、声で、秋川はやっとのことでつぶやく。 「・・・酔っ払っているのか?」  眼鏡を掛けていない秋川の目にもハッキリと見える程に、瀬田の顔は近くに来ていた。 近くで見れば見る程に、造り物めいた整った顔だった。今は不気味にすら見える。 「酔ってなんていませんよ。酔っていた方が都合がいいのなら、そういうことにしておいてくれても、おれは一向に構いませんけど」 「瀬田、おまえはおれにとって大学時代の後輩で、今は同じ会社に勤めるルームメイトだ」     
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