4 雨、上がる

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 秋川は素直に謝った。いくら物理的に瀬田の体を引き留めたところで、どうにかなるものではない。 そういう問題ではないことは、秋川にもよく判っている。  秋川は顔を上げて、言った。無理矢理に笑ってみる。 「入って、早く着替えろよ。あ、その前にシャワー浴びた方がいいな。風邪引くと・・・」 いけないから。と最後まで、秋川は言い切ることが出来なかった。 秋川の顔は、口は瀬田の肩口によって全く塞がれてしまった。  濃い、水の匂いがする。雨に濡れたせいだろうが、大学のプールと同じ匂いだ。と秋川は思って、めまいがした。 そんなことは有り得ないのに。 「先輩は悪くないです。何も、悪くないんです。だから、謝らないでください」  左耳へと直に吹き込まれるかの様に、ささやかれる瀬田の声は今は熱い。と秋川は思う。  秋川の体をかき抱く瀬田の腕の力は強く、見動きが全く取れない秋川はただただじいっとしていた。 「・・・・・・すみません。シャワー浴びて、着替えてきます」  瀬田は秋川の体を放して、玄関から室内へと入った。 「瀬田!」 恐らくは、自分の部屋へと寄ってからバスルームへと向かうであろう瀬田の背中を、秋川の声が叩く。振り返り、微かに笑って瀬田が言った。 「もう、黙って出て行ったりはしませんから」 「あぁ・・・」     
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