4 雨、上がる

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 「とにかく、おれは出て行きます」 「瀬田・・・・・・」 瀬田の顔は今にも泣き出しそうに、秋川には見えた。 確かに笑っているというのに。 「だって先輩、気持ち悪いでしょう?今までと同じように、おれと暮らせるって言えるんですか?」 「・・・・・・」  何も言わない、言おうとしない秋川へと、瀬田は続ける。 「仕方がないですよ。先輩のせいじゃありません。もしもおれが先輩の立場だったなら、やっぱりそう思いますから。おれのこと、そんな目で見てたんだ。気持ち悪いって」 「思わないよ」 「え?」  小さい声だが、秋川はハッキリとそう言った。瀬田の顔を真っ直ぐと見つめて、今度は心持ち大きな声で言う。 「気持ち悪いなんて思わない。本当だ」 「先輩・・・」 「でも、今までと同じようには暮らせないと思う」 「そう、ですよね・・・それはおれもよく判ってます」  秋川は気を遣ってくれているのだ。と瀬田は思った。 思ってもいないことを、嘘までをも言って、自分を傷つけないようにしてくれている・・・  その、秋川の優しさだけで十分だ。ルームシェアをして本当によかった。と瀬田はあきらめた。 あきらめたはずだった。     
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