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俺達にも栗羊羹とほうじ茶を出してくれた風早さんが食器の片付けを始めると、薫さんがカウンターに入って手伝いだした。 「あの2人、すごく仲良くて見てるだけで幸せになれるんです」 ほうじ茶を啜りながら七翔君が囁いた。 「本当だね。七翔君、あのさ、今日はどうして……。バイト休みだよね?」 「うん。びっくりしたでしょ。あの子が小桜さんに志季さんにデートに誘われたって言ったみたいで、小桜さんが風早さんに電話して、それを一緒にいた薫さんが聞いてたの。激怒した薫さんが会社に乗り込もうとしたから止めるために風早さんが事情を話すしかなくなり、一応納得した薫さんが恋人の僕にも知る権利があるって連絡くれたんです」 片付けが終わったのか、タオルで手を拭きながら薫さんが尋ねた。 「そもそも、御影はなんであの子をここに呼ぼうと思ったんだ?」 「ああ。話を聞いた時点では彼女が1年も片想いをしていた事までは分からなかったけど、単にバーベキューに誘われただけとは思えなかったんだ。だから、じっくりと彼女の気持ちを聞いてみようと思って」 「志季君は断ったんだから、放って置いたら良かっなんじゃないの?」 「いや、来てもらって良かったよ。桃花さんていう人がいても、彼女の恋心は全く変わってなかった。もしこのまま有耶無耶にしたら、気持ちの行き場を無くした彼女がストーカーに走ることだって有りうるんだ。まあ、あくまでも可能性だけどね。彼女の気持ちを聞いた上で、志季君にきっぱり振ってもらいたかったんだけど……」 風早さんが薫さんと七翔君を睨んだ。 「佐藤さんが話すたびに飛び出して来ようとするのを止めるのに必死で、意図したのとは正反対の結果に終わってしまった」 「………ごめんなさい」 「七翔君だけならまだしも、薫まで……」 「悪かった」 「その上拍手までするバカもいて、ますます彼女を誤解させてしまった。もしあのまま志季君に彼女を送らせてたら、今ごろは彼女に押しきられていたかもしれないんだぞ」 ここまでは黙って聞いていたが、とんでもない想像をされそうで口を挟む。 「そんなことあり得ません」 きっぱりと否定したのに。 「………確かに」 「志季さん、優しいから……」 「男は女の涙に弱いからな」 薫さんと七翔君と小桜さんに肯定されてしまった。
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