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もぞもぞと何かが動くのを感じて目を開けると、俺の腕から抜け出そうとしている七翔君と目が合った。 「おはよう、どうかした?」 「いえ、あの………」 恥ずかしそうに目を伏せる七翔君のおでこにチュッとキスをする。 「朝から七翔君に会えるなんて幸せだ」 ほんわかムードで七翔君を抱きしめようとしたら、七翔君が急に抵抗し出した。 「や、ムリです」 「無理って?」 「だから、ムリなんです。だって……」 肘で俺の胸を押しながら必死で体を離そうとする。 「志季さん、お願い。すぐに戻ってくるので、ちょっとだけ離してください」 「どこに行くの?」 「……トイレです」 トイレってまさか…… さっと動いた俺の手を七翔君が掴んだ。 「……っ志季さん!」 やっぱり若いから朝は元気だな。 「あの、離して下さい」 「でも辛そうだよ。ヌクの手伝おうか?」 「大丈夫です」 これ以上意地悪すると、嫌われちゃうかな。 「起きようか?そう言えば夕べは何も食べなかったな。早めに出て駅前でモーニングを食べよう」 「……はい」 「意地悪してごめんな」 七翔君の頭にポンと手を置くと、七翔君はふるふると首を横に振った。 先にベッドを出て歯を磨いているとパタンとトイレのドアが閉まる音が聞こえた。 今まで他人と暮らすなんて考えた事もなかったけど、こんな朝も悪くないな。
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