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そしてやっと金曜日。
七翔君との待ち合わせまでまだ時間があるけど会社にいると何かと仕事を振られ帰れなくなる可能性があるため、早々と部屋を出てきた。
ああ、まただ。
ここ数日、受付に座っている女子社員が鋭い視線を俺に向けてくる。
………あの子が佐藤さんの友達のりっちゃんこと真山立夏さんなんだろうな。
来客で視線が外れた隙に真山さんをそっと盗み見ると、さっきまでの仏頂面はどこにいったのか満面の笑顔を浮かべている。
小桜さん?
真山さんが小桜さんを好きだと言っていた事を思い出したが、どうやら相手は女性みたいだ。
あれ、あの後ろ姿は………。
ドキドキしながらじっと見つめていると。
「星宮君だ。久しぶり、元気にしてた?」
眩しい笑顔を向けながら近づいてくる桃花さんがいた。
「どうしたの?私の事、もう忘れちゃった?」
「いえ……あのどうして桃花さんが……」
「待ち合わせなんだけどまだ時間がかかるみたいで。そうだちょっとだけお茶に付き合ってくれない?」
「………はい」
七翔君のバイト終了までは時間があるから。
でもこれは言い訳だ。
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