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桃花さんと別れた後、七翔君のバイト先に来てしまった。 「いらっしゃいませ」 普段は奥にいてあまり店に出ない薫さんが爽やかな笑顔で出迎えてくれる。 「こんばんは」 「こんばんは。七翔のお迎え?」 「はい。待たせてもらって大丈夫ですか?」 「もちろん」 「ありがとうございます。えっと……シュークリームとコーヒーください」 あまり邪魔をするのも悪いので、さっと注文するとイートインスペースに移動した。 パティシエになると決めてから、七翔君は接客だけじゃなく商品を並べたり道具を洗ったりする仕事もやらせてもらっているらしい。 夢のために頑張っているんだと思うと俺も負けないように頑張ろうと思う。 「どうぞ」 薫さんがもみの木の形のクッキーが乗ったお皿をテーブルに置いてくれた。 あれ、シュークリームを注文したはずなのに。 「試食品だよ。これから食事に行くのに、シュークリームなんか食べたらお腹一杯になっちゃうよ。それにさっきコーヒー飲んで来たんじゃない?」 「分かりますか?」 「鼻は利くんだ。待ち合わせの数分くらい気を使わなくていいからね」 薫さんは相変わらず優しいな。 「次はきちんと買いにきます」 「志季君は本当に真面目だね。まあそこがいいんだけど」 イケメンが間近で微笑むとすごい威力だ。
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