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ぶっ、くくく。 笑いが込み上げてきた。 牛丼屋の定員にまで嫉妬する俺と、恋愛感情じゃないって分かってる風早さんや薫さんにまで嫉妬する七翔君。もう、お互いどれだけ好きなんだよ。 「行こう」 「はい」 牛丼の袋が激しく揺れるのにも構わず七翔君の手を引いてアパートまで走る。ほんの少しの距離なのにこんなに息切れするなんてと日頃の運動不足を実感していると、鍵を開けた七翔君がどうぞと振り向いた。 「おじゃまします」 先に玄関に入ると七翔君を引き入れ、壁ドンのようにドアに腕をついて愛しい存在を閉じ込める。 「志季さん…」 斜め下から見つめる顔がたまらなくて、シャープな顎に手を添え更に上を向かせると、そっと唇を重ねた。 「ん……」 可愛い声に煽られながら柔らかな唇を舌でそっと割り割く。七翔君の舌を捕まえ、じゅっと吸い上げると微かな甘みが広がった。 さっき食べたクッキー?いや、そういうんじゃなく彼自身から感じる甘さだ。なんとも言えない甘さがまるで麻薬のように俺を虜にしていく。 何度も何度も角度を変え、時には優しく時には激しく七翔君の全てを知り尽くさんばかりにキスを繰り返す。 ああ、たまらない。なんて気持ちがいいんだろう。
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