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抱き締めていた腕を緩めベッドを出ようとすると、不安そうに七翔君が見上げてきた。 「大丈夫。ローションを取りに行くだけだから」 段取り悪すぎだろ。 もっとスマートにリードするはずが、ダメダメすぎて恥ずかしい。 明らかにホッとした顔の七翔君が腕を伸ばしてベッドサイドにあるラックの引き出しを開け、配送されたまま開けてない箱を取り出した。 「ローションならこれ使って下さい」 「買ったの?」 「……はい」 七翔君の顔が瞬時に赤くなる。 こんなの用意してくれてたなんて、それだけで顔が綻ぶ。 「じゃあ遠慮なく使わせてもらうな」 「はい」 箱を開けると……。 「ピーチ?」 ピンクの可愛いボトルには香りだけじゃなく桃の味まですると書いてある。 俺が薬局で買った素っ気ない物とは全く違う。 「何でピーチ?」 「他にも色々あって僕はプリン味に惹かれたんですけど、志季さんは甘いの苦手だから果物なら大丈夫かなって……。桃もダメですか?」 「大丈夫だけど……こんなローションがあるなんて知らなかったよ」 「ネットで見ただけですが、色々ありますよ。中には媚薬入りなんて言うものも………」 それ、大丈夫なのか? 薬の副作用の怖さを知っているだけに、怪しい物を使う気にはならない。 「そんなの使わなくても俺がもっと気持ちよくさせてやるよ」 「ん………」 七翔君の頭を抱き寄せて唇を塞いだ。
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