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半透明なプラスチックボトルを手に取り眺める。ピーチだから桃色をしてると思ったのに、ローション自体は透明だ。
蓋を開けると、ポンと軽快な音と共に甘い香りが広がった。
「桃、だな」
「桃、ですね」
「さすがに舐めてみる勇気はないけど」
「確かに」
七翔君と顔を見合わせて笑う。
そろそろ始めないと……。
「うつ伏せになってくれる?」
「……はい」
素直に従ってくれる七翔君の下に枕を入れ、腰を高くする。
「すごく恥ずかしいから、あまり見ないで……」
くぐもった声が聞こえた。どうやら恥ずかしさを紛らわすために、シーツにグリグリと顔を擦り付けているようだ。
約束はできないので聞こえなかったふりをし、ローションを七翔君の後ろに塗りつけた。
「冷た……」
「ごめん」
そう言えば手で温めてからつけるって何かに書いてあった気がする。
ボトルから少量の液体を出し、手のひらで温めてから再び触れる。
「どう?」
「大丈夫です。でも………ああ……」
トロリとした液体が太ももをゆっくりと伝い落ちると、七翔君が甘い声を漏らし体を揺する。
白い背中がなまめかしく揺れる様に俺自身が過分に刺激され、我慢が辛くなってきた。
平常心、平常心。
なるべく気持ちを落ち着けると、きゅっとしまったそこをそっと撫でた。
爪は大丈夫だろうか。
MRという仕事柄商品説明の際に手元を見られることが多いので日頃から爪や手には気を配っているが、実際に入れる段になると傷つけないか不安になる。
ローションの滑りを利用してゆっくりと人差し指のほんの先っぽだけを入れ、大丈夫か尋ねる。はいという返事にホッとしつつ「痛かったら言って」と付け加える。
しばらくそのままでいた後呼吸に合わせてぐいっと第2間接まで指を埋めると、七翔君が苦しそうに呻いた。
「痛い?」
「痛く……はないけど、辛いです」
ネットでは異物感がすごくて辛いと書いてあったけど、やっぱりそうなんだ。
「やめる?」
指を引き抜こうとすると、「やめないで」とシーツを握りしめた七翔君が震える声で叫んだ。
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