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ダメだ。もう3日も経つのに、思い出す度に自然と頬が緩んでしまう。 あの日目を開けると、俺の腕の中で七翔君が気持ち良さそうに眠っていた。一瞬夢かと思い頬にかかる髪に触れると柔らかくて現実なんだと安心し、そのまま髪をすくように指を入れると、七翔君がんーと小さく唸って眉をしかめた。 起きてしまう。 長いまつげが揺れるのを見て慌てて手を離すと、七翔君は頭をグリグリと枕に押し付けた後、目を閉じたまま満足したように笑みを浮かべ再び寝息を立て始めた。 しばらく 寝顔を見ている内に俺も眠ってしまったみたいで、ごそごそと何かが動く気配に重い瞼を上げると、七翔君が驚いたように「あっ」と声を漏らした。 察するに、しっかりと巻き付いた俺の腕から抜け出そうと四苦八苦していたらしい。 「おはよう」 「おはようございます」 お互いに照れながら挨拶を交わしたが、恥ずかしくてまともに顔が見られない。 「お腹空いた、よな?」 「そうですね」 体を起こそうとした七翔君がうっと唸ってベッドに顔を伏せた。 無理させ過ぎたかもしれない。 「ごめん。七翔君は寝ていて、俺が何か作るから」 「………すみません。食パンがあるのでそれでお願いします」 よほど痛いんだろう。普段なら僕がって言う七翔君が素直に俺に任せてくれる。 「了解。冷蔵庫開けるよ」 「はい。何でも使ってください」 エアコンをつけっぱなしにしていたので、布団から出てもそんな寒くはない。 シャワーを浴びたいが、せっかくきれいにしても昨日の服しかないので諦めて脱ぎ散らかされた服を拾うと手早く身につけた。 そして……。 「何だかご機嫌だな」 「……えっ?」 あ、仕事中だった。 声の方を見ると、不機嫌そうな小桜さんと目が合った。
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