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「白菜ですか?トロトロふわふわですごく美味しいです」
料理の出来ない俺には、ホワイトシチューの材料と言えば玉ねぎ、人参、じゃがいも、鶏肉くらいしか思い浮かばない。まさか白菜がこんなに合うなんて思いもしなかった。
「今まで食べた中で一番美味しいかも」
「ハハ、それは嬉しいな。これ、薫も好きなんだよ」
同じだ。風早さんもいつも薫さんの事を考えているんだな。
だからかな、思わずポロリと口に出してしまった。
「七翔君も好きそう」
「そうだな。七翔がすごくうまそうに食べる姿が目に浮かぶよ。そうだ、志季君にちょっとおつかい頼んでいいかな」
「おつかいですか?」
「うん、薫の店に俺からの差し入れを届けて欲しいんだ。薫も七翔もくたくたで家に帰って何も食べずに寝そうだから」
シチューの差し入れか。二人とも喜びそう。
「大丈夫ですけど、風早さんが持って行った方が薫さん喜びそうですが」
「まあな。だけど、顔を見ちゃうと俺が色々我慢出来そうになくて」
普段穏やかな風早さんの雄の部分を垣間見た気がして、顔に熱が溜まる。明日薫さん、めちゃくちゃ襲われそうだ。
「あ、じゃあ俺が行きます」
「ありがとう。届けたらすぐ戻っておいで」
タッパを用意しながら風早さんがにこりと笑う。
━━これって、俺も危なそうって思われてるよな。
「……はい」
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