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やっとゆっくり七翔君に会える。 少しはしゃいだ気持ちで出社し、途中で買ったコーヒーで温まっていると。 「………何ですか?」 「いや、別に」 じとりと睨んでくる小桜さんの視線がうるさい。 「じゃあいいです」 せっかくのいい気分を邪魔されたくなくて、話を打ちきりノートパソコンの液晶に視線を落とす。 ごほん、ごほん、ごほん。 わざとらしい咳払いが聞こえるのを無視していると、我慢できなくなったのか小桜さんが話しかけてきた。 「昨日の事、聞かないのか?」 「興味ないので」 「それは……」 小桜さんがもごもごと何かを呟いた。 聞いて欲しいならそう言えばいいのに。 昨夜バーに戻った俺は、すぐにパーティーの事を言ったかどうか小桜さんを問いただした。 「話したけど、それがどうした?」 「どうした……って、七翔君を不安にさせるような話し方をしないでください」 「不安も何も俺はただ事実を言っただけだし」 今回は、拗ねても全く可愛くない。 「事実って……平岩クリニックのパーティーに参加した事ない小桜さんにはわからないでしょう。なのに、色っぽい女医さんや可愛い看護師さんやクールな検査技師さんだらけのハーレムパーティーなんて七翔君に言うなんて酷いです。そもそもいつ七翔君に会ったんですか?」 「いつって……パーティーの日だよ。暇だからブラブラ買い物していたら、偶然食材を買い足しにきていた彼に出会ったんだ。俺達の会話なんて星宮君の事しかないだろ?だからつい」 ついじゃないよ。 ため息をついていると、代わりに風早さんが叱ってくれるというので任せて帰ってきたんだが、小桜さんはそれを怒っているんだろう。
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