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「で、何であんなこと言ったんですか?」 「……。ちょっと羨ましかったんだよ。家にいてもやることなくて町に出たらカップルがやたらイチャイチャしてるし、店もどこも一杯で落ち着かないしでイライラしてたら、彼がいたんだ」 「小桜さんの嫉妬と七翔は関係ないでしょ?」 「俺は別に嫉妬なんかしていない」 「してますよ。そんなに羨ましいなら恋人を作ればいいじゃないですか。受付の人でも、他の人でも」 いくら自分が寂しいからといって七翔君に当たるのは間違っている。 「それは……」 「七翔君に事実を伝えてきちんと謝って下さいね」 「だけど彼も悪いんだよ。町中がふわふわしてみんな幸せそうで、大好きだとかいうから」 あまりにも自分勝手な言い訳にあきれながらも、自分の気持ちに正直な小桜さんを突き放してしまう事ができない。風早さんが文句を言いながら世話を焼いてるのもこれなのかな……。薫さんは不満そうだけど。 「それで、小桜さんは俺達が喧嘩でもすれば満足なんですか?」 「そんな事全然考えてなかったけど……悪かったよ。御影にもこってり叱られた。反省の意味も込めてか、出禁になった」 「はあ、出禁?」 風早さんにしては厳しい罰のような……。 「いや、正確には違うのかな。御影忙しいらしくて、数日店を開けれないかもしれないから来るなって言われたんだ。その間反省しろとも言われたけど」 ━━顔を見ちゃうと俺が色々我慢出来そうになくて。 不意に風早さんが漏らした言葉が頭に浮かんだ。 まさか……な。
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