3

7/14

917人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
「浮気は許さないよ」 突然、鋭い声が飛んだ。 「浮気?するわけないだろ。俺にはお前がいるんだから」 「どうだか……」 「信じないんだったら、証明してみようか?」 「どうやって?」 「キス、とかどうだ?それ以上でも俺は一向に構わないが」 え、このワイルドな人がさっきまでのバーテンダーさん? 「ばかじゃないのか?いくらお前の店だからって、キスなんてするわけないだろ」 「お前が証明して欲しいって言うから」 「俺はそんな事言ってない」 あまりの雰囲気の違いに俺が戸惑っている間も、バーテンダーさんは後ろの人とポンポンやり取りをしている。内容を聞くと恋人同士の喧嘩のようだが、後ろから聞こえるのはどう聞いても男の声だ。 おろおろする俺とは対照的に、隣の七翔君は出されたアイスコーヒーを平然と飲んでいる。 「志季(しき)さん、落ち着いてください。この二人はいつもこんなだから。それよりパスタ食べないと美味しくなくなっちゃいますよ」 「ああ、うん………」 半分上の空でペペロンチーノを食べていると……。 「ほら、ここついてる」 七翔君が俺の頬を人差し指で触って、笑いながらその指を舐めた。 「あれ、その人七翔の彼?」 「違うよ。この人はこの前お店にガトーショコラを買いに来てくれたお客様で、僕の大学の友達のお兄さん」 えーっとちょっと混乱する。 というか、七翔君、今俺の頬に付いてた何かを食べたよな。何で?まだお腹空いてるのか? それと、七翔の彼ってなんだ………。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

917人が本棚に入れています
本棚に追加