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またまた七翔君に助けられ、神無月さん、俺、七翔君の順番にスツールに腰かけて、ジン・ライムを飲みながら今聞いたことを復習する。
ちなみにジン・ライムは、薫が迷惑をかけたからと風早さんが作り直してくれた。
まず、目の前のバーテンダーさんは風早 御影さんと言って、このバーのオーナーだ。年齢は30歳で薫さんの幼なじみらしい。
店名の『a gale』疾風は風早から付けたんだって。カッコいい。
俺の左の人は『パティスリー薫』のオーナー兼パティシエの神無月 薫さん。薫さん(と呼ぶように強要された)も30歳で、なんと風早さんとは恋人同士らしい。
一見怖そうに見えたが、ケーキを愛していて、ケーキを誉められると嬉しくて泣いてしまう可愛い人だ。
そして、右隣が花咲七翔君。妹の美琴の友達で『パティスリー薫』のアルバイトだ。サラサラの茶髪と大きな目が印象的な21歳、若いなあ。
「薫もペペロンチーノ食べるか?」
「ケーキ食べたからいらない。それより喉が乾いたからビール」
「ハイハイ。でも、そんな食生活してると今にぶくぶく太るぞ」
「煩いな。ケーキを作るのって思ってる以上に重労働だから太らないよ。御影こそ酒の飲み過ぎでビール腹になるんじゃないのか?」
「バーテンダーも見た目より重労働なんだよ」
風早さんと薫さんはいつもこんな風で、「喧嘩するほど仲がいいっていうあれだよ」と七翔君は二人を見ながら笑っている。
「ところで志季君は、七翔の事どう思ってるの?二人は付き合うの?」
危うくジン・ライムを吹き出す所だった。
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