917人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
応えてやる事も出来ないのに、俺は一体何がしたかったんだろう。
「気持ち悪がらずに聞いてもらえただけで嬉しい」なんて言わせて……俺って本当に最低だ。
「ごめん」
「志季さん？」
「本当に、ごめん」
どうすればいいのか分からず、とにかく頭を下げると。
「泣かないでよ」
七翔君が叫ぶ。
━━━泣いてるのは七翔君じゃないか。
ポロポロと涙を溢しながら七翔君が俺の頬に手を伸ばした。
ちゃんと伝えなきゃな。
「気持ち悪いわけない」
「え？」
「七翔君に好きだって言われて、気持ち悪いなんて思わないよ。だけど、君と付き合う事は出来ない」
「……はい」
認めるよ。先に泣いたのは俺だ。……だから、もう泣かないで。
「気にしないで下さい。ゲイじゃない志季さんに……」
「そういうことじゃない」
「え……」
「ゲイかどうかは関係ないんだ。俺さ、最近失恋したばっかりでまだ気持ちに余裕がなくて、新しい恋とか全く考えられないんだ」
「失恋したんですか？」
「うん。その上、失恋をまだめちゃくちゃ引きずってる。それは、きちんと好きだって告白しなかったからなんだ。だから、七翔君にも我慢して欲しくなかったんだけど……」
俺の我が儘で余計に七翔君を傷つけてしまった。
最初のコメントを投稿しよう！