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大丈夫ですかと声をかけるものの、近づく勇気はない。 その時、後ろから聞き覚えのある声がした。 「星宮君見つけた。課長がウィスキー飲みたいって言ってるんだけど、大丈夫かな?」 この人は確か経理の定峰(さだみね)さんだ。 「ウィスキーですか……ちょっと確認してみないと何とも……」 一応飲み放題にはしてるが、その中にウィスキーが入っていたか覚えてない。 「悪いけど、確認してもらえるかな?」 「はい。でも………」 小桜さんを残して行くわけにもいかない。 俺の視線を辿った定峰さんが、うずくまる小桜さんを見て「あっ」と叫んだ。 どうしよう……と蒼白になる俺とは対照的に、定峰さんの顔が笑顔になる。 「小桜さん酔っちゃったんだ。オッケー、後は私が引き継ぐから星宮君は行っていいよ」 「いいんですか?」 「うん、私酔っぱらいを介抱するの得意なので任せて」 渡りに船とはこの事だ。小桜さんは酔ってるわけではないが、これ以上かかわり合いたくないので定峰さんに任せる事にしよう。 「ではよろしくお願いします」 「もちろん。星宮君もご苦労様」 小桜さんが「おい」と叫んだ気がしたけど、気にしない。定峰さんに思う存分介抱されて下さいね。 少しだけ気分が浮上した俺は、またあの大変な飲み会の席に戻って行った。
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