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テーブル席に誰かいるなと思ってたけど……。
「え、七翔君………と薫さん?どうしてそんなに離れた席にいるんですか?」
他の人に聞かれたくない話をするなら、ここよりケーキ屋で話す方がいいのに。
うわ。
つかつかと大股で近づいてきた七翔君は、俺の問いには答えず顔をぐっと近づけてきた。
近い………。
慌てる俺を他所に、七翔君が思い詰めたように俺を見つめてきた。
「キスされたって本当ですか?」
「うっ。まあ………」
「殴る」
七翔君が急に背を向け、小桜さんに向かって拳を振り上げたので、咄嗟に腕に飛び付く。
「やめ………」
「離してください。大切な志季さんに無理矢理キスするなんて許せない」
「うん、でも殴るなんて……」
「あれ、無理矢理だったかな?星宮君も楽しんでいたよね」
止めようとしているのに、小桜さんがわざと神経を逆撫でするように口を挟んでくる。
殴られたいのか?
「なっ!」
ほら、また。
「嘘だから、七翔君落ち着いて」
自分よりも怒っている人が目の前にいると案外怒れないもんだな。
「でもっ」
「いいから、ねっ、殴ったら七翔君が怪我するから」
なんとか七翔君をなだめたと思ってるのに、後ろから「殴られて当然だよ」という声がした。
━━薫さんまで………。
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