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みんながピリピリしている。
その中で1人落ち着いているのは全ての元凶である小桜さんだ。
神経が太いのか、それとも鈍感なだけなのか。
いずれにせよ、安定の嫌な人だ。それも俺限定で。
小桜さんが意地悪く俺に絡んでくるのが周りからは仲良しに見えるらしく、面倒なことに話したこともない女子社員から彼への橋渡しを頼まれたりする。
小桜さんに言ったら 、「俺、女に興味ないし、星宮君が勝手に頼まれたんだから自分で何とかしたら?」と突き放されたので、最近は「小桜さん、直接伝えてくれる子が好きだって言ってましたよ。頑張って」って伝えてる。
昨日も昼休みに女子社員に呼び出されてたな。自業自得だ。
「慎、いい加減にしろ。あまり問題を起こすと出禁にするぞ」
風早さんが静かに告げると。
「え、それは困る……」
「じゃあ、嫌みな言い方は止めろ。俺にとっては、恋人である薫や客である志季君や七翔の方がお前より何倍も大切なんだからな」
「酷いな。じゃあ御影にとって俺は何なんだよ」
「うーん……昔何度か寝たことある奴?」
薫さんが嫌そうに顔を背けた。
確かに嫌かもしれない。好きな人の過去なんか知りたくないから 。
ああそれで薫さんはテーブル席にいたんだ。
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