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「それでってそれだけ。同じ町に住んでて飲み屋とかバーとかで会ったら話す事もあるが、それだけの関係だ。卒業した慎は転勤でどこかに行ったし、俺も知り合いの伝でこの町にやって来た。だから慎とは久しぶりなんだ」
「本当?」
「嘘ついてどうする。俺にはお前がいるのに」
「御影………」
良かった。これで二人は大丈夫だな。
後は、俺の隣に腰かけ小桜さんを睨み付けている七翔君だけだ。
「お前って、星宮の恋人なのか?」
「……違うよ」
七翔君と俺を見比べた小桜さんは、何かを悟ったようにニヤリと笑った。
「フラれたのか?」
「……うるさい」
「うるさいのはどっちだ。フラれてるなら、お前には関係ないだろ?俺、お前みたいにいかにも『受け』って感じの可愛い系苦手なんだよ」
「僕もあんたなんか嫌いだ」
あーもうどうしよう。
「小桜さん、黙らないとまた股間を蹴りますよ」
「う………」
黙っていようと思ったけど、もう我慢できない。
「何?慎って、股間蹴られたの?志季君、やるねー」
風早さんが茶化してくれたので、何とか一触即発の空気が和らいだ。
でも、ゲイって普通に言ってる小桜さんや風早さんも悩んだ時期があったんだな。
「小桜さんにもいつか素敵なセフレが現れますよ」
「星宮、お前にだけは言われたくない」
「確かに……」
「今夜はみんな飲んでください。お代はタダにしますから。そうだ、志季君お腹空いてない?」
「………空いてます」
「了解、待ってて」
風早さんはにこりと笑うと、何作ろかなといいながら冷蔵庫を開けた。
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