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七翔君が好きだと自覚したが、気持ちはまだ伝えていない。 結局あの日は、泣き疲れて眠ってしまった七翔君をベッドで抱き締めて眠った。 それにしても、朝起きた時の七翔君の慌てっぷりは可愛かったな。真っ赤で、目を白黒させて、口なんかぽかんと開けっぱなしで。 「何か良いことあった?」 「あ………小桜さん」 しまった。彼が前に座っているのを忘れてた。 「お兄さんが相談に乗ってあげようか?」 「結構です」 きっぱりと言い放って書類作成の続きに取りかかる。 「つれないなぁ」と少ししょんぼりしている小桜さんを見てこっそりと笑う。 彼がここに来て1ヶ月が経とうとしているが、不思議な事に今は嫌悪感をほとんど感じない。 後で聞いたのだが、最初のキスは彼の嫉妬心から来たものらしいんだ。 俺が桃花さんの事をすごく慕っていたと聞いた小桜さんは、俺と仲良くしようと思って何度か話しかけてくれたらしいが、桃花さんロスだった俺は仕事をこなすので精一杯で割と素っ気ない態度を取っていた。 それで俺に意地悪したくなり、あんな行動に。 子供だよな。
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