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「ありがとうございます。薫さんは、優しいですね」 「俺が?いや、全然優しくなんかないよ。俺は 我が儘な人間なんだ。御影の事を大切にしたいのと同じくらい仕事も大切なんだよ」 薫さんの仕事に対するストイックさは七翔君から聞いている。御影さんに同棲しようと言われた薫さんは、きっぱりと断ったらしい。それは2人の生活リズムが違うから。一緒に住むと今までのリズムが崩れて仕事に支障がでるからと。 風早さんが昼すぎに出勤し深夜に帰宅するのに対して、薫さんは早朝に出勤し夜まで仕事をしている。そう、彼らの生活は真逆なんだ。 薫さんは風早さんに「一緒に住んでるのにきちんと顔を会わせられないのなら、離れていた方がましだ」と言ったんだって。 2人が会えるのはほんのわずかだが、薫さんと風早さんがお互いを尊敬し、大切に思ってることは付き合いが短い俺にさえわかる。 恋愛も仕事も大切か、すごいな。 「男同士ってデメリットも多いけど、代わりに対等でいられるっていうメリットがある。俺はそれが誇らしいんだ。どちらかが寄りかかるのではなく、好きな人と一生肩を並べて歩いていけることが」 急に恥ずかしくなったのか、「偉そうな事言ってごめん」と言うと薫さんは仕事に戻って行った。
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