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会社のビルに駆け込みエレベーターのボタンを何度も押すと、丁度一階で止まっていたのか扉がすぐに開いた。
乗り込んでドアを閉めると、急に気が抜けて床に座り込んでしまう。
心臓がバクバクいって苦しい。
………ああ、とうとう好きだと言ってしまった。
伝えられた喜びと共に浮かび上がってきたのは、いい大人が言い逃げってどうなんだ……という心配だ。
情けないなぁ。七翔君は逃げずにきちんと告白してくれたのに。
幻滅されたかもしれない。
途端に気分がズーンと沈む。
━━そうだ追いかけて、もう一度伝えるんだ。
立ち上がろうとしたら、固いものに頭をぶつけた。
「痛っ。お前、急に立つなよ」
痛む頭をさすりながら顔を上げると、小桜さんが顎を押さえながら文句を言っていた。
「小桜さん、何でここに……」
「何でって、病院から帰ってきてエレベーターに乗ったらお前が座りこんでて、気分でも悪いのかと近づいたら頭突きされたんだよ」
あ、階数ボタン押すの忘れてた。
怒っているからか、口調が荒い。だけど、いつものからかい口調よりは今の方が断然好感が持てる。
「小桜さん、俺、今の方がずっと好きです」
「はぁ?な、何言ってるんだよ。す、す………好き……って」
そうだ、七翔君のところに戻らないと。
「顎すみません。ちゃんと手当てしてくださいね。じゃあ、俺行きますね」
「え、どこに?さっきのは何だよ!」
「ちょっと急いでるので、今度お詫びします」
小桜さんが何か叫んでいたが、七翔君の事しか頭になかった。
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