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目を閉じたままの七翔君。
口紅もつけてない自然なピンク色の唇が俺を誘う。が、告白してすぐにキスとか……大丈夫か?
数少ない恋愛経験を紐解いてみても最短が告白から1ヶ月以上経ってからで、その日なんてあり得ない。
………う、緊張してきた。とにかく落ち着こう。
七翔君の肩に手を置き、少し距離をとる。
これ以上は無理だ。俺、頑張ったよな?うん、頑張った。きちんと告白出来たし、瞼にだけど一応キスもしたし。
必死で自分に言い聞かせていると、七翔君がパチリと目を開けた。
「志季さん?」
「は、はひ。何?」
しまった、声が裏返った。
「ぷっ、はひって……」
「そんなに笑わなくても」
「だって……。志季さん、まさか緊張してるんですか?」
「してるよ」
開き直りながら答えると、七翔君が目を真ん丸にした。
「志季さんってモテそうだから……」
だから緊張しないって言いたいのか?
まさか。いつも初めての恋愛みたいにドキドキしてるよ。………そんなに経験はないけど。
「じゃあ、七翔君は慣れてるの?」
「僕ですか?」
「うん」
慣れてるんだろうな。俺なんて、七翔君の上目遣いにさえドキドキが止まらないのに。
「僕は……もう無理です」
七翔くんがペタりと床に座り込んでしまった。
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