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「あれ、仲直りしたの?」
少し砕けた話し方なのは小桜さんがいるからかな?
「まあ……」
「それは良かった」
風早さんが笑いながらジン・ライムを俺の前に置いてくれる。
甘いものが苦手なのはデザートだけじゃなく酒もそうだ。酒の中でもジンのキリっとした味が好きで、いつもジン・ライムやジントニックを頼んでしまう。一口にジン・ライムと言っても店によって使ってるジンの種類やライムジュースとの割合が違うのだが、風早さんが作るジン・ライムは絶品だ。
「やっぱりここのジン・ライムが一番好きです」
「ありがとうございます。バーテンダー冥利に尽きますね」
和やかな雰囲気の俺達の隣で小桜さんがふんと鼻を鳴らした。
「お前さ、何にでも好きとか言うなよ。誤解するだろ」
「誤解ですか?」
言われた意味がわからず首をかしげると、小桜さんがうっと唸った。
「慎、もしかして志季君にハマっちゃったのか?」
「ま、まさかバカな事言うなよ。俺はこいつの事なんてちっともタイプじゃないから」
「ハイハイ。そう言えば志季君って慎のタイプだよな。和風な顔立ちもそうだし、素直で優しい性格もそうだ。だけど、志季君はどう見ても受けじゃないと思うぞ」
「うっ……」
二人の会話を聞いていて寒気がしてきた。もしかして俺、小桜さんに狙われてたのか?いや、絶対に無理だから。
小桜さんの隣の椅子から1つ隣の椅子に移ると、風早さんがくっくっと笑った。
「慎、お前振られたみたいだぞ」
「はぁ、だから好きじゃないって言ってるだろ。星宮もバカな誤解するな」
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