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バカな誤解と言われても………。 チラッと横目で小桜さんを見ると、カウンターに両肘をついて頭を抱え込んでいた。 「からかって悪かったよ。で、慎は志季君の何を誤解したの?」 あれ、まだこの話は続くのか? 風早さんの容赦ない質問を受けている小桜さんが、何だが気の毒になってきた。 「それは………」 「あの、もういいんじゃないですか?小桜さんも誤解だって言ってらっしゃるし。俺も忘れますから」 言葉を裏付けるようにもう一度小桜さんの隣に移動する。 「志季君は知りたくないの?」 「まあ」 確かに。からかわれる対象であった自分がどうやって恋愛対象になったかは少しだけ興味がある。 「教えてやりなよ。そしたら、志季君もこれから気を付けるようになって、変なちょっかいかけられなくなるだろ。俺にとっては志季君も七翔も大切だから、二人には幸せでいてほしいんだよ」 「風早さん」 ああ、なんていい人なんだ。 崇拝の目で風早さんを見つめていると、「お前だけずりぃな」と小桜さんが呟いた。 「ハハ、拗ねるなよ」 風早さんはみんなに優しいのに、小桜さんに対しては辛辣だ。それだけ気を許してるのか、それども過去に確執があったのか……。 諦めたようなため息とともに、小桜さんがとんでもないことを言った。 「大したことじゃないよ。こいつに 『今の方がずっと好きです』って言われただけだよ」
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