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「酔いつぶれて寝るなんて、バカだねー。ていうか、御影、こいつを家に泊めるなんてしないよな」 「しないよ。まあ、もしそうなったら、俺は薫の家に泊まるよ」 「それならいいけど………」 薫さんが、嫌なものでも見るように小桜さんを睨み付けている。 今は全く関係なくても、過去に寝た二人ってやっぱり複雑だよな。七翔君の元カレなんて出てきたら、俺もたぶん……いや絶対に心穏やかではいられない。 「はい、お待たせ。今日はポトフにしてみたよ。志季君も食べてね」 俺と七翔君の前にホカホカと湯気のたつポトフとガーリックトーストが置かれた。 「いただきます」 勢いよく食べだした七翔君を可愛いなと思いながらポトフを見つめていると、「嫌いだった?」と風早さんに聞かれた。 「いえ。料理を出してないのにポトフみたいに時間のかかるものがあるのが不思議で」 「ああ、そうか。元々は薫に作ってたんだよ。こいつケーキを食べたから飯はいらないなんて言うから。今はまだ若いからなんとかなるけど、その内糖尿とか肥満とかになりそうだろ。だから色んな物を食べさせようと思って作ってたんだ」 「それを一人暮らしの僕がもらってるの」 なるほど。でも薫さんが料理を食べてる所を見たことがないけど。 俺の視線に気づいた薫さんが鞄からタッパを取り出した。 「俺は夜はあまり食欲がないから、朝食用にもらっていくんだよ」 「ケーキの食べすぎでな(ね)」 風早さんと七翔君が呆れたように同じ言葉を口にすると、「研究のためだし……」と薫さんが言い返す。 あれ、その大切な料理を俺が食べちゃって大丈夫なのか? 「あの………そんな大切な料理を俺まで貰ってしまったら足りなくなりませんか?」 「いい子だな」 「志季さん、優しい」 「お前の分も作ってるよ」 薫さんと、七翔君と風早さんが同時に答えてくれた。それぞれの言葉は聞き取れなかったが、大丈夫だよと言われたみたいだったので安心してスプーンを手に取る。 「いただきます」 透明なスープを掬うと、隣で小桜さんがふがと鼻を鳴らした。
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