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「遅くなったけど、誕生日おめでとう」 「ありがとう」 ケーキ屋の袋を差し出すと、美琴が嬉しそうに受け取った。 「お兄ちゃん、このお店にバイトの男の子いなかった?」 「居たよ。茶髪の子だろ?」 「そうそう。その子、七翔(ななと)君っていうんだけど、ゼミの友達なの。ガトーショコラの事もその子から聞いたんだよ」 友達っていうからてっきり女の子かと思ってたけど、あの男の子の事だったんだな。 「すごくしっかりしてそうな子だったよ。もしかして美琴の彼なのか?」 あの子と美琴が並ぶとお似合いかもしれない。 「もうやだ、お兄ちゃんたらお母さんみたい。すぐに彼が出来たか聞くんだもん」 「あー、ごめん」 さっき母親にされて嫌だった質問を妹にしてしまった。 「いいよ。あのね、お兄ちゃんにだけ教えてあげる。私ね、先生が好きなの。まだ告白はしてないけどね。だから、七翔(ななと)君は友達だよ」 家族ってやっぱり似るのかもな。俺と同じで美琴も届かない人に片想いなのか……。 「分かった。頑張れよ」 「お兄ちゃんもね。好きな人いるんでしょ?さっきの話聞こえちゃった」 「まあな。飯食うよ。おかずは何?」 「しょうが焼き。お兄ちゃん好きでしょ?」 「ああ、大好きだ」 美琴が作ったしょうが焼きとサラダと具だくさんの味噌汁を食べてから、みんなでガトーショコラを食べた。 濃厚だが甘すぎず、ほのかに苦味も効いていて、甘い物が苦手な俺でも美味しく食べられた。 「明日ゼミで七翔君に会ったら、お礼言わなくちゃ」 「そうだな。俺の分も伝えておいてくれ」 「分かった」
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