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ハクションと大きなくしゃみが出て、体が冷えていることに気づく。 とにかく今は明日のデートの事を考えよう。少なくとも半年、うまくいけば1年はこのままここで働ける。先の事なんて誰にも分からないのだから、今を精一杯楽しめばいいんだ。 「もしもし七翔君、遅くなってごめんね。明日の事で電話をくれたんだよね?」 「はい。あの、レンタカー借りてドライブ行きませんか?僕運転しますよ」 「いいね。でもレンタカーはいらないよ、俺が車出すから」 「志季さん、車あるんですか?」 「一応ね。あまり乗らないから実家に置いてて、バッテリーが上がらないように家族に使ってもらってるんだよ」 「そうなんですか?」 「うん。たまに乗るとぬいぐるみとか増えてて結構恥ずかしいんだけどね」 「えっ、ぬいぐるみですか?」 「そうそう。美琴が勝手に増やすんだ。前は助手席に大きな熊が乗っててびっくりした」 「明日もその熊乗って来ますか?見たいです」 「いいけど。……でもそうすると、七翔君は後ろに乗るの?」 少しの沈黙の後「やっぱりいいです」と聞こえた。 「えっ?」 「熊のぬいぐるみはいいです。僕を志季さんの隣に乗せてください」 「良かった。実は俺もそうしたかったから」 七翔君と話していると楽しくて、さっきまでの暗い気持ちがどこかに行ってしまう。 大切にしよう。 「七翔君、明日楽しもうな」 「はい」
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