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電話を切って最近変えたばかりの待ち受け画面をうっとりと眺めていると、背後から「綺麗ですね」と声をかけられた。 「コスモス見に行かれたんですか?」 振り返ると、小柄な女子社員が背中越しにスマホ画面を覗きこんでいる。この子は確か……経理の佐藤さんだったかな? 見られたのが七翔君とのツーショット写真じゃなくてよかったと思いながら、然り気無くスマホを隠し笑顔を作る。 「ええ、まあ……」 「デートですか?」 勝手に画面を見たのを悪びれもせず、更につっこんだ質問をしてくる彼女にイライラが募る。 「いえ」 出来るだけ短い言葉を用いて会話を終わらせたい意思を伝えるが、通じなかったのか更に質問を続けてくる。 「じゃあお友達とですか?いいなー。私も行ってみたいです」 胸の前で手を組んで首を傾げる仕草は一般的に見れば可愛いのだが、計算してるみたいであまり好感が持てない。 俺の腕をくんと引っ張って、志季さんと上目使いに呼び掛ける七翔君の方が何倍も可愛い。想像しただけで、フフと笑みが漏れてしまう。 「どうかしました?」 「いえ」 突然笑いだした俺に佐藤さんが怪訝な表情を浮かべるが、説明する気になれず午後からの外出の用意を始めた。 席を立ちホワイトボードに『直帰』と記すと、佐藤さんが慌てて近寄ってきた。 「あの、今度の休み出掛けませんか?バーベキュー出来るところ知ってるんです。友達誘うので星宮さんもお友達と一緒に……」 これは友達を紹介してくれって事なのか? 「あー、友達みんな彼女持ちだから、それはちょっと……」 「そうなんですか?じゃあ星宮さんと2人でも」 「えっ、2人でバーベキュー?」 それなら焼肉屋でいいんじゃないか。
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