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カウンターに突っ伏して動かない小桜さんを見ていると罪悪感が湧いてきた。
「小桜さん、あの………聞こえてますよね?」
「……………」
「佐藤さんの事、すみませんでした」
「……………」
「結局、週末にバーベキューすることになったんですか?」
ずっと反応がなかった小桜さんの頭が微かに動いた。
もしかして頷いたのか?
「佐藤さんと2人で?」
また動く。
やはり、2人きりでバーベキューするのか。
「断れなかったんですか?」
また動く。
そうなんだ………。
小桜さんを助けてあげたいけど、俺が代わりに参加するなんて無理だし……。困って風早さんを見ると、仕方ないなぁという風にため息をつかれた。
「志季君はこの酔っぱらいの事情を知ってるの?」
「はい。小桜さんがこんなに落ち込んでるのは俺のせいなんです」
「詳しく聞かせてもらえる?」
「はい」
俺はほとんど話した事のない佐藤さんに、いきなり週末のバーベキューに誘われた事を話した。
「なるほど。志季君、佐藤さんって子を明日にでもここに連れてきてもらえるかな?」
「はい」
とりあえず、風早さんに任せてみよう。
「どうぞ、召し上がれ」
目の前に置かれたのは、白い三角おにぎりと出汁が入った大きめの椀だった。
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