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「こんな所にバーがあったんですね」 「俺も最近まで知らなかったんです。俺にとっての隠れ家的な場所なので………その………会社の人には内緒にしてもらえると助かります」 「いいですけど……そんな場所に私が来てもいいんですか?」 「もちろんです。さあ、入りましょう」 「はい」 あっ、会社の人が来てくれた方がお店には良かったのかも………。 訂正しようと隣を見るとキラキラの笑顔を浮かべる佐藤さんがいた。 ━━もしかして、また言葉を間違ったのか? 「どうかしましたか?」 「いえ」 ドアを開けると風早さんに優しく出迎えられる。ここまではいつもの光景だが………。 「キャー、イケメンが一杯」 佐藤さんがテンション高く叫んだ。 確かにイケメンが一杯だ。風早さん、薫さん、七翔君、おまけに小桜さんまでいるなんて。 薫さんにバレちゃったのか……。 でもどうして七翔君までいるんだろう。 「志季君、お疲れ様。ここ座ったら?俺達は向こうにいるから」 薫さんは俺にいつもの席を勧めると、七翔君を伴ってテーブル席についた。 七翔君が一言も話してくれないのを気にしつつ、佐藤さんと並んで座った。いつものジン・ライムを注文すると、佐藤さんはキール・ロワイヤルを注文した。 見た目はすごく綺麗な赤でジュースのようにくいっと飲めてしまいそうだけど、作り方を見ていたらシャンパンとカシス・リキュールを入れてたので気を付けないといけない。 この前の小桜さんのように酔っ払った佐藤さんを送るとかしたら、有らぬ誤解を招きそうだ。
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