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小桜さんはいつもの場所に座って静かに飲んでいる。 「美味しいです」 「ありがとうございます。お客様は、志季君のお知り合いですか?」 「志季君……、あ、星宮さんの事ですね。星宮さんとは同じ会社なんです」 ね、という風に小首を傾げて俺を見るので頷くと、後ろでガタッと音がした。 振り返ろうとした俺に大丈夫と風早さんが合図をした。 「そうなんですね。もしかして、志季君の彼女さんですか?」 え、何を言い出すんだ?びっくりしてさっきの音の事なんか頭から吹き飛ぶ。 「それは………」 佐藤さんも否定しないのか? 「ちが……」 「まだ違いますが、そのうち?」 佐藤さんがテレたように付け加えた。 ガタガタガタ。 後ろで物音がするがそんな事どうでもいい。 「佐藤さん!」 「あ、ごめんなさい。でも、桃花さん以外誰も誘わなかった星宮さんが自分の大切な店に誘ってくれるなんてそういう事ですよね?」 桃花さん? どうしてここに桃花さんが出てくるのか分からず、ますます混乱する。 「志季君、大丈夫だから落ち着いて」 風早さんが優しく肩に手を触れた。たったそれだけなのに、不思議と焦りがなくなり騒いでいた心が静まる。 「はい」
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