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ずっと忘れていたジン・ライムを一口流し込み佐藤さんに向き直ると、潤んだ瞳で見つめ返された。 「おかわりいかがですか?」 「お願いします」 いつの間にか佐藤さんのグラスは空だった。 ペース早くないか? 彼女を改めて見ると、目元や頬が赤く染まっている。酔っているのか?いや、まさかまだ一杯目だしそれはないだろう。 「どうぞ」 「ありがとうございます」 すぐに口をつける佐藤さんに風早さんが質問の続きをした。 「桃花さんって志季君の元カノさんですか?」 「違います。だけど、2人は両思いでした。悔しいけど、間に割り込むなんて出来ないほどお似合いだったんです。だから、桃花さんが結婚するって聞いた時は心から祝福しました。でも、桃花さんの相手は別の人で、信じられなくて桃花さんを問い詰めたらお互い臆病だったってそんな事を言うんですよ。だから………」 佐藤さんは飲み干したグラスをカウンターに置いた。 「諦めない事にしたんです」
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