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失恋
なんで、今俺は、こんな話をしてるんだ?そう心の中で呟きながら鷲見映真は、パソコンの画面と向かい合っている。
数十分前に、自分と同じ内田工業高校に通う中谷美和から『失恋した』と連絡が入り、向こうの話を聞くつもりが、いつの間にか自分の話をするはめになっていた。高2にもなると、お互い他人の扱いが定着化し、この類のことは自分には関わりのないことになるだろうと思っていたのだが。まぁ、こいつの場合、だいぶ変わっているし天然なところがあるから、仕方ないのか。本気で悩んでるっぽいしな。そう思いつつも、どうにも心の動揺が隠し切れず、落ち着こうとホットコーヒーの入ったマグカップに口を付ける。別にこの動揺が、誰かに見られているわけでもないのだが。
『その人のこと、今でも好きなの?』
「あっつ」
美和の直球な質問に、危うくコーヒーを溢しそうになった。もう一度、送られてきた文字をじっくりと見る。見間違いなどではなかった。
「なんでこういうこと聞いてくるかなぁ」
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