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そこには天使がいた。
これから一杯引っかけに行こうとする男たちが遠巻きにしている中で、天使は小柄な青年から金品を巻き上げようとしていたごろつきを、その澄んだ声で諫めていた。
「おやめなさい。その様なことをしても、あなたのためにはなりませんよ」
背が低く華奢な天使のその言葉に、ごろつきたちが掴みかかる。
「なんだよ、それじゃあ天使様が俺達の飲み代だしてくれんのか?」
白く輝く翼に手を掛け、顔に被っている仮面をはがそうとする男たち。その手を払いのけて、天使は後ろに跳ねて一旦距離を取り、男たちに問いかける。
「あなた達は、いつもそうやって市民からお金を強請っているのですか?」
すると、男たちは苛立った顔をして何も言わないけれども、周りで遠巻きにしている男たちから声が掛かった。
「そいつらはいつもそうやって、他のやつからお金を巻き上げてるんです。
天使様、なんとかしてやって下さい!」
その声に同調するように、周りの男たちも声を上げる。
「うるせえおまえら!
それのどこが悪いんだよ」
周りからの声に反論するように、ごろつきたちが怒声を飛ばす。それらを聞いた天使は、腰から光の剣を抜いてごろつきたちに向けた。
「なるほど、あなた方は常習ですか。
ならば、悔い改めていただきましょう」
そう言って天使は光の剣を振るう。ごろつきたちが悲鳴を上げている間に、全員の首元に、剣を一閃させた。
周りの男たちも、天使の行動には驚きを隠せなかったようだ。しかし、よく見ると血は一滴も流れておらず、ごろつきたちの首も繋がったままだった。
倒れたごろつきたちに背を向けて、天使は言う。
「この人たちを憲兵に連れて行ってもらって下さい。
もう、悪いことをしたりはしないでしょうけれど」
それを聞いて、ごろつきに絡まれていた青年が震える声で礼を言って、その場から離れた。
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