5人が本棚に入れています
本棚に追加
prologue
「愛しているよ。魅咲」
「嬉しいわ…貴仁さん。私も愛してる」
郊外のホテルで抱き合っている二人は、お互いの愛を確かめるように甘い言葉を囁き合った。
「そろそろいいかい?」
そう言って貴仁が部屋の明かりを消し、漆黒の闇が広がると魅咲は言った。
「貴仁さん…。もしも私の命とあなたの命、どちらかしか生きられないような状況になったらどうする?」
「そんなこと決まっているじゃないか。魅咲の命を最優先するよ」
「本当に?」
「あぁ。君の為なら死んだって構わないさ」
その言葉を聞いて魅咲は涙を浮かべながら満面の笑みを見せ、両手で貴仁の首を強く握りしめた。
「がっ…み、魅咲…何を…!?」
「ありがとう…貴仁さん。これでまた…食欲が満たされるわ。本当に愛してる」
「ぐっ…がぁ…み…みさ…き…」
女性とは思えないような強い力で首を絞められた貴仁は、ホテルの柔らかなベッドにグッタリと横たわり、体液を垂れ流しながら絶命した。
ボキッ…グチャ…
クチャ…クチャ…クチャ…クチャ
静寂の中、彼女の食事の音だけがホテルの部屋の中に響いた。
最初のコメントを投稿しよう!