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犯人の女
2018年7月某日、郊外のホテルにて…
「警部、遺体の損傷の激しさから見て、例の猟奇的殺人と関係しているのは間違いないかと思います」
「はぁ…これで今年に入って3人目か…」
「前回の時もその前の時も、犯人の手がかりは全く掴めていないのですよね」
「あぁ。鑑識の結果でも、犯人の指紋はおろか毛根すら何も残っていないらしい。犯人は恐らく女だとは思うのだがね」
「近くの防犯カメラにも怪しい人物は誰一人として映っていなかったみたいですね」
「このグロテスクな仏さんを見る限り、犯人も返り血を浴びていたり何らかの痕跡を残してもおかしくはないはずなんだがな…」
今年に入ってから3人目となる猟奇的殺人事件。
この事件を担当するのは中年の警部である長岡。
凄腕の敏腕刑事として、数々の難事件を解決してきたやり手のエリートだ。
しかし、今回の事件だけは解決の糸口を全く掴めず、常に険しい表情で深く考え込んでいるように見える。
刑事としてはあるまじき考えだが、これは本当に人間の仕業なのだろうか…という思考が頭から離れなかったのだ。
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