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その男は、女を四つん這いにさせて、後ろから眺めるのが好みだった。引き締まったウエストから成熟したヒップまでの曲線は何ものにも代えがたい魅力がある。じっと覗き見られているのに耐えられない女は、たいていお尻を振って合図する。
今回の女は、振り向いて声は出さずに、「お願いだから早くして。」という意味の切ない表情をする。男は、微笑むだけで返事をしない。女は、脚を広げてさらにお尻を突き出してくる。でも、男に焦りはない。露わになった女性自身は、眺められているだけなのに濡れて光っている。女は、興奮度合いが高いときは時々ピクッと魚のように跳ねることもある。
青臭くて若い女ばかりを抱いている奴の気が知れない、と男は思う。それは、まだ緑がかった固いバナナを食べているようなものだ。女は、30歳の少し前から、薄い衣を被るように皮膚の下に脂を蓄えはじめる。肩、肘、膝が丸く柔らかくなって、押した指が少し沈みこむような弾力性が出てくる。自分の女とするのなら、その辺りから35歳くらいが一番良い、と経験でそう知っている。
目の前にいるこの女をモノにするのに、どれだけの手間と時間をかけたことか。野獣の本姓からすれば、とらえた獲物として、できるだけ長い間、生殺しにして楽しまなければ気が済まない。目の前いっぱいに広がるヒップにゆっくりと指を這わせて、揉み解していく。そして、次はどうしようかと考える。
男にとって、成熟した女を抱くことが一番の生きがいだった。それは、どんな名声や成功を捨ててでも手に入れたい至福のひとときだった。
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