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なぜ職場の近くで迷うのか、そもそもこんな観光スポットで迷子になるものなのだろうか、と眉間に皺を寄せる。
「私この辺の者じゃないので、あんまり詳しくないのですけれど」
「ああそうでしたか。申し訳ありません。弱ったな……」
顔を顰めて頭をかく廉太郎に「来た道を戻ってみてはどうですか」と助言した恵は、視線を発電所に戻す。
つられるように視線を向けた廉太郎は、はっと息を飲んだ。まるで宝物を見つけた子供のように、瞳を輝かせ食い入るように景色を見つめる。
そんな横顔を一瞥した恵は、思わず「子どもみたい」と呟く。それが廉太郎にはきっちり聞こえたらしく、赤い顔で鼻を触った。
「お恥ずかしい。これでも二十四なのですけど」
「あ、タメなんですね」
不思議そうな顔をした廉太郎に、「私も二十四歳です」と言い直す。年が同じだと知って少し警戒が解け、砕けた口調で話しかける。
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